どこにでもある曲がり角
そちらの様子が見えぬから
思わずぶつかったんだ
これは老婆と犬のお話
お腹と背中がくっつきそうな
ボクにパンをくれたのさ
昔話を一日中 聞かせてくれた
あなたがいつも笑うから
ボクは芸を身につけて
明日は何を見せようか
いつもの曲がり角であなたを待つ
寒さ香る時雨の日から
あなたがパタリ 来なくなった
ぽつり ぽつり 歩く白い傘も
覗くと違う人だった
汚いねぇと
ボクの毛並みを逆撫でしては
しわくちゃな顔で微笑んだ
小さな手を口にあて
優しい声で はははと
あなたがいつも笑うから
ボクは芸を身につけて
明日は何を見せようか
いつもの曲がり角 あなたを待つ
夢で逢えたらと柱の隅で
長い眠りについてみる
ゆっくり目を閉じて
ちょっとだけおやすみ
あなたがいつも笑っていたから
ボクは芸を身につけて
今日は何を見せようか
いつもの曲がり角 やっと会えた
これは老婆と犬のお話